2016年10月22日

第一部 青の王 -6-

「う――っ、くそ、気持ち悪ぃ……」
 包帯は頭だけでなく、顔の左側にも斜めに巻かれていた。左耳が膨らんでいるのは、包帯の下に血止めの布が詰められているのだろう。包帯で半分隠れた左目も、白目が充血していて痛々しかったが、今はそれどころではない。
「なにがあった!?」
「え? パーディシャーがなんで……」
 ウィロウはハッとした顔をした。椅子の背につかまって立ち上がり、セージを探した。
 セージは片腕をゆっくりと持ち上げた。ふれてもいないのに、セーブルの身体が浮かび上がる。床から足先が離れて、つりさげられたような格好になると、セーブルはもがいた。
「王様!? なにやってんだよ、黒の王を殺す気か!?」
 煙のようにぶわりと、もやが噴出した。濃さも増して、セージたちの姿を隠した。もやにふれさせないように、ウィロウの頭を押さえつけて身をかがめた。
「耳、いたいいたい! てめえ、なにすんだ!」
 ウィロウの腹の下に片腕をまわして、身体を持ち上げると、扉に向けて放り投げた。飛ばされたウィロウの身体を、スクワルが慌てて両手で抱きとめた。
「スクワル、下がれ! 扉を閉めろ!」
「そんな……貴方が来ないなら、俺は出られないでしょ」
 スクワルは諦めた顔でウィロウを外に追いやると、内側から扉を閉めようとした。
 閉じかけた扉の隙間から、ウィロウが腕を入れた。立ち上がる力も残っていないようで、四つん這いで扉にかじりついた。真っ青な顔にあぶら汗を浮かべて、「おれが、声かけたんだよ」と言った。
「黒の王が紫の宮殿に来たから! 殺されかけたのはあんたのせいかって問い詰めたら、王様に聞かれて……それでここに連れてこられたんだけど、黒の王がなにか言ったせいで、王様がおかしくなって……」
 スクワルが扉を少しだけ開けて、ウィロウを見下ろした。
「黒の方は何を言った?」
「え、えーとたしか、青の近衛隊長が失敗したせい、だとかって……」
「……ルクソールの話か」
 スクワルは顔をしかめた。青の王がルクソールに暗殺されたかけたことを、セージは知っている。事件を引き起こしたのがセーブルだと気づいたのなら、あの苛烈な怒りにも説明がつく。
 青の王はウィロウに声をかけた。
「わかった、おまえは緑の宮殿へ戻れ」
「あっ、待て! 待て待て閉めるな! さっき、黒の王を問い詰めたって言ったのは、最初は殺されそうになった文句じゃなくて、他に聞くことがあったんだよ。今、葡萄酒祭りやってんだろ? 最終日になんか仕掛ける気だって、おれを攫ったやつが言ってたんだ。おれには囮の価値しかないって。黒の王を見た時に急に思い出して問い詰めたら……」
「最終日に仕掛ける?」
 ウィロウはひたいを押さえた。
「たしか、円形場に誰か来るとか……下手したら戦争だとか……」
 円形場、戦争。嫌な考えが閃いた。青の王は立ち上がると、閉まりかけてた扉を乱暴に開き、スクワルを外へ押し出した。
「ちょっと、なにを……!」
「円形場へ行け! サルタイアーの国王を襲うつもりだ」
「は……本気っすか」
「パーディシャーの私と、国王を招いたシアンは責任を取らされる。その上、同時期にサルタイアー国内で水道長官が殺されていたとわかれば、報復行為と取られかねない。下手をすればサルタイアーと戦争だ。かならず止めろ!」
 扉を閉め、鉄製の鍵を下ろした。
 セーブルが、わざわざセージたちを大聖堂まで連れてきた理由がわかった。ここなら、警備兵も来ない。外から鍵をかけて、祭りが終わるまで閉じ込めておけば、サルタイアーの国王を襲うのを邪魔されない。
 それでも心配なら――ここで、ふたりを殺そうとしたのだろう。
 強い風が吹いた。自然に起こる風ではなく、セージがいた方向から吹き付けてくる。黒いもやの中から、宙になにかが飛び出してきて、見上げるとそれは緑色のかたまりだった。
 落ちてきた身体を、床に叩きつけられる前に受け止めた。セージはぐったりとしていた。
 意識を失ったせいか、急速にもやが薄まって、視界が開けた。
 細い通路の先にはセーブルがいた。床に両ひざをつき、脱力したように両肩もだらりと垂れ下がっているが、真っ黒な瞳だけは力強かった。真っすぐに、こちらをにらみつけていた。
 セーブルがのろりと、片腕を持ち上げた。てのひらを向けられると背筋に悪寒が走った。セージの身体を抱えて、長椅子のかげに滑り込んだ。強い風が起きて、顔を上げると椅子の背の一部が吹き飛んでいた。
 通路を挟んだ向こう側の椅子は粉々になっていて、脚しか残っていない。それどころか、鉄を塗られた分厚い扉には、大きな穴が開いていた。
 抱きしめていたセージの身体が、びくりと震えた。
「う……っ」
 目を覚ますと、すぐに上体を起こした。青の王の制止も聞かずに通路に顔を出して、叫んだ。
「動くな!」
 それは『声』だった。ひとの思考を操る能力で、頭の中心を貫かれたような気がした。自分に言われているわけではないとわかっていても、手足を動かせなくなった。
 セージは肩で息をしながら、その場に立ち上がると通路に進み出た。すぐに、泣き出しそうな声でつぶやいた。
「『声』が効かないなんて、どうして……?」
 青の王からはセーブルのようすは見えなかったが、セージが後ずさったのを見て、相手を押さえ込めたわけではないと悟った。
「セージ、『声』を解け!」
 身体が軽くなる。こちらを見下ろしたセージの身体を押して、床に倒した。頭上を轟音が通り抜けた。椅子のかげに連れ戻して、怒鳴りつけた。
「力が使えるということは、セーブルは術師なのか!?」
「……術師?」
 セージは呆然としたようすで、ひとりごとのように答えた。
「ああ……そうか、術師なんだ」
 目の当たりにしても信じがたかった。セーブルは術師の力を欲していたはずだ。自分にその能力がないせいで、なおさら欲しがって、周りにはいつも術師を侍らせていた。
 だが、風を起こして椅子や扉を壊せるなんて、神の力に他ならない。なぜ今まで隠していたのかわからないが、正体をあらわしたのは、セージの能力がとてつもなかったせいだろう。力を隠したままでは、殺されると思ったに違いない。
 腕をつかまれた。セージの指は力が入っておらず、小刻みに震えていた。
「セーブル様がなにをしたのか、すべて言わせようとしたのに、『声』が効かなかったんです。俺、なんとかしようと……壁が、頭の中にあって、そのせいだってわかったから消そうとしたら、こんな……」
「壁? なんの話だ」
「どうしよう。壁にさわったらいけなかったんだ……」
 そう言いながら、セージは眠りに落ちるように意識を失った。
 ふと、影が落ちた。
 見上げると、目の前にセーブルが立っていた。人形のように表情が抜け落ち、双眸はまるで空洞のように暗い。長い黒髪が、風も無いのにさらりと広がった。
 片手でセージを椅子の下に押し込むと、反対の手で剣を抜いた。身を低くして駆け出すと、セーブルの懐に飛び込むと同時に剣を振った。剣先で顔を狙うと、セーブルの視線が動いた。
 目には見えない風が鞭のようにしなって、剣を握っていた右腕にぶつかった。剣にも亀裂が入り、粉々になった破片がはじけ飛ぶ。そちらに意識が向いているうちに、セーブルの足元を払った。
 セーブルは前のめりによろけた。無防備な腕をひねり上げて、背後にまわると背中を蹴った。片膝を乗り上げて、うつぶせに床に押し付ける。後頭部をつかんで床に打ちつけた。
 気絶させれば術師の能力が止まるのは、セージと同じだった。不自然な風の気配が無くなり、ようやく息をついた。
 セーブルがうめいた。
 長い髪をつかんで顔を上げさせると、寒気がして視界がゆらりと揺れた。頭の中に光景が飛び込んでくる。『目』で見えたのは、黒衣を着て、フードを目深にかぶっている人影だ。かすかにセーブルの声が聞こえた。
「……『オブシディアン』?」
 聞こえたとおりにつぶやくと、セーブルの肩が揺れた。突如、風が巻き起こった。セーブルの身体から跳ね飛ばされて、椅子に叩きつけられた。息が止まるほどの衝撃だった。
 セーブルはゆっくりと上体を起こして、青の王を振り向いた。その目に敵意はなかった。ひたいの痛みに顔をしかめながら、頼りない声で「ここは……貴方は誰ですか……?」と尋ねた。


 兵に捕えられたセーブルは、自分がなにをしたのか思い出せなかった。
 それどころか、自分は十四歳だと言い、その頃の記憶しか持っていなかった。なぜ術師の力を隠していたのかと尋ねても、そんな力は無いと弱々しく答えるだけだった。嘘をついているようには見えなかった。
 カテドラルの地下の部屋に閉じ込めて、青の近衛兵に出口を見張らせた。
 青の宮殿に戻り、折れた右腕と肋骨の治療を受けながら、円形場から戻ってきたスクワルの報告を聞いた。
「結論から言いますと、俺が行く必要はありませんでした……」
 大男は情けない表情で肩を落とした。
「サルタイアー国王にはシアン様がついてたんですから、そりゃ世界一安全でしょうけど、それにしたって……! 黒の宮殿に潜り込ませた私兵から、情報を聞いていたなら、俺には話しておいてくれてもいいでしょう!?」
 シアンは近衛兵だけでなく、私兵も動かしていたようで、襲撃を未然に防いだだけではなく、暴漢を捕らえて、黒の宮殿の重職者の側近の名前まで吐かせていた。
 サルタイアーの国王は、襲われかけたことすら気づかず、閉会の式典の催しを最後まで楽しんだようだ。しかも、事前に情報を得ていたのなら、国王を囮として使った可能性すらあり、あまりの抜け目のなさに、真実を追及することすら恐ろしい。
 兵を率いて駆け付けたスクワルは、シアンに虫けらでも見るような目で、「シャーを放ってきたのか? なにをやらせても使えない」と蔑まれたという。
「言い方ってものがあると思うんすけど……!」
「どう言っても同じだろう」
「まったく違うっすよ、心の傷の深さが。これで貴方が怪我したことまで知られたら……しかも、パーディシャーを辞めるなんて話まで出ていると知られたら、俺も貴方も殺されますよ……いいですか、俺がいないところで話してくださいよ!?」
 スクワルは身を震わせた。
 円形場の式典が終わると、サルタイアーの国王は感謝の言葉を残して帰国した。街のバザールは畳まれ、大量の葡萄酒はすべて飲み干されて西方の財政危機をかろうじて救い、こうして、葡萄酒祭りは穏やかに終わりを迎えた。
 セーブルの記憶が戻るまで、何年も待てなかったが、意外にも三日も経つと、ほとんどの記憶を取り戻した。また神の力を暴走させるのではないかと警戒していたが、気力を失ったように、寝台で一日を過ごしていた。
 完全に記憶を取り戻したら、かたちばかりの聴取を行うことになっている。
 パーディシャーの暗殺未遂に加え、隣国の王を襲わせたとあっては、もはや処遇はひとつしかないが、王の処刑は前例がない。他の王や、重職者の賛同を得るため、カテドラルの広間で会合を開くことになった。
 セージの性格では、間違いなく異議を唱えるだろうから、いまだに意識が戻らないのは好都合だった。
 それは緑の宮殿でも同じ認識のようで、処刑が済むまでは青の宮殿で過ごさせる、ということで話がついていた。処刑があると知れば、なにをしでかすかわからない。
 青の王は正装に着替えながら、かたわらのシアンに話しかけた。
「ウィロウはしばらくのあいだ緑の宮殿で療養するそうだ」
 スクワルの手でカテドラルの警備兵に預けられたウィロウは、高熱を出して倒れた。拉致されていたあいだに、体力を消耗していたのに加えて、カテドラルでの騒動に巻き込まれたのでは無理もない。ようやく動けるようになったらしく、吐くほど食事を取って侍従長を困らせていた、とは、見舞いに行ったスクワルの話だ。
「スクワルから聞きました。それより、早くお支度を済ませてください。会合が始まってしまいます」
 折れた利き手を布で吊っているので、不自由この上ない。ようやく上着を羽織ると、挑発するように尋ねた。
「会いに行かないのは、ウィロウに恨まれていると思うからか? おまえの恋人でなければ、標的にはされなかった」
 シアンは無表情を崩さなかった。ただ、めずらしく素直に返事をした。
「ウィロウが私を恨んでいるとは思っていません。北方でも、同じようなことがあったので……」
「同じようなこと?」
「作戦の邪魔になるので見殺しにする気だったと伝えても、ウィロウは気にしていませんでした」
 愛されていると惚気ているのかと思ったが、少しもうれしそうには見えなかった。
「それならなぜ会いに行かない」
「……身体に傷を、つけられた姿を見るのが嫌なだけです」
 消えそうに小さな声で答えた。
 シアンをともなって、カテドラルへ向かった。青の宮殿を出るところで、警備兵に呼び止められた。
「申し訳ございません。止めたのですが……!」
 兵の身体を押しのけるようにして、あらわれたのはウィロウだった。頭に包帯を巻き、まだ左目の充血も治まってはいない。
 ウィロウはシアンしか見ていなかった。自分をろくでもない目に遭わせた原因が、シアンにあると知っているような鋭い眼光で、じろりと見上げた。
「あんたには無事だって言っておこうと思って」
 シアンは冷たく聞こえるほどそっけなく、返事をした。
「無事だとわかった。緑の宮殿へ戻れ」
 ウィロウは眉間にしわを寄せた。考えるようなしぐさをしてから、くちを尖らせた。
「宮殿には戻らない。このまま屋敷に帰る」
「屋敷? 怪我が治るまでは宮殿にいろ」
「緑の宮殿じゃ、あんたと話せないだろ! いいか、変なこと考えるなよ。あんたがやらなきゃいけないこと済ませたら、なにも考えずにおれに会いに来い。夜中でも夜明けになっても待ってるからな。別れるとか、面倒くさいこと考えるのはそれからにしろよ!」
 シアンは無視して、ウィロウに背を向けると歩き出した。
 カテドラルの門番が慌てて、左右に扉を開いて、シアンを中へ迎え入れようとした。青の王はシアンを追い越すと、扉を押さえて、腕でシアンの進路を塞いだ。
「なんのつもりですか」
 傷をつけられた姿を見るのが嫌だと、可愛げのあることを言っていた男は、恐ろしい形相をしていた。
 目の前にセーブルがいたら、処刑なんて生易しいやり方ではなく、なぶり殺していただろうと思うくらいには、壮絶な殺気を放っている。
「ウィロウはまだ、おまえを見ているぞ」
「私的な問題です」
「国に尽くす以外、楽しみのないおまえに、私的も公的もないだろう。おまえには野心があっても、私欲がない。欲しいものが百あれば、ひとつを失っても気づかずに済むが、ふたつしかなければ半分を失う。半分しかなくなったら、今までのようには生きられない。自分らしく生きたければ、ひとつも取りこぼすな」
 シアンは人間らしく、眉間にぎゅっとしわを寄せた。
「……ウィロウになにを言うか、まだ決めていません」
 外交問題にはなんなく解決策を提示するくせに、自信が無そうにするのがおかしかった。扉から手を離して、シアンの胸を後ろに軽く押した。
「おまえだけでは、どうせろくな答えは出ない。ふたりで考えろ」
 シアンは目を細めて嫌そうな顔をしながら、右耳に髪をかけた。
「あなたの耳に入らないようにと頼まれていましたが……緑の方の不調は神の血が関係しています。専属医が言うには、これまで神の血の病によって術師たちの多くは、死の間際には能力の制御ができなくなったと。緑の方も同じ状態に陥っており、このままでは余命いくばくもないという意見でした」
「――わかった」
「死ぬとわかっても顔色も変えないのですね」
「私を批難したいなら、おまえは同じ真似はするな」
 シアンは自嘲するようにくちの端を上げると、背を向けて走り出した。
 賢い頭にはいくらだって、ウィロウを懐柔する言葉が浮かぶはずなのに、ウィロウの前まで行っても、どうしていいかわからないように、立ち尽くしていた。
 背中を抱きしめられても、抱き返すこともできずにいるのが、やはりおかしかった。
 シアンの肩越しにウィロウと目が合った。盛大に顔をしかめてから、片手を振って、犬を追い払うような仕草をした。
 青の王は人差し指で、ウィロウに扉を示した。使っていない空き部屋がある。ウィロウは扉を見てから、人目につくと気づいたのか、素直にシアンを連れ込んだ。
 それを見届けてから、青の王はカテドラルに足を踏み入れた。
 広間にはパーピュアとギュールズ、それに賢者のロイヤルエールフォルスや、ファウンテンの役人が集められていた。緑の宮殿からはセージの代わりに宰相が席につき、同席していないのは、黒の宮殿に関わる者だけだ。先に来ていたスクワルが、シアンの姿がないので怪訝な表情を浮かべた。
「あらましはすでに聞いているだろうから、結論を先に言う。セーブルを処刑する」
「まあ、今回ばかりは仕方がないだろう」
 パーピュアは机に片ひじを置き、だらしなくほおづえをついた。
「王が裁きを待って処刑されるなんて初めてじゃないか? 黒の宮殿からの反発も予想されるし、領地である東方の諸侯たちからの嘆願も、少なくはあるまい。穏便に殺したければ、今度の事件だけではなく過去の悪事まで広く知らしめてから、公開処刑してはどうだ?」
「過去の悪事?」
「そうだな、『青の災厄』なんかちょうどいいんじゃないか? もう数十年前の事件だが、あれきり伏せておくのはもったいない」
 ギュールズが形のいい眉をひそめて、意義を唱えた。
「セーブル様が裁かれるのは避けられないとしても、過去の話まで持ち出すのは筋が違うのではありませんか。次の……新しく黒の王になる方にも影響があるかもしれません」
「はは、ギュールズはいい子だなあ」
 パーピュアは笑い飛ばした。
「わたしたちは常に、5人で覇権争いをしているんだ。見も知らぬ、新しい黒の王の心配をしている場合か? 無用な情けをかけていては身を滅ぼすぞ」
 パーディシャーの地位をめぐる小競り合いは、王たちのあいだで頻繁に起こりうる。
 セーブルの処刑によって長年の確執にけりをつけた。そして、今から新しい争いが始まる。人命は失えば取り戻せないが、地位ならば、また取り返す算段もつけられる。
 青の王は立ち上がると、机に手をついて宣言した。
「当会合をもってセーブルの処刑を決定し、私の暗殺を企てたことは民にも知らしめる。それから――セーブルの刑の執行を最後に、私はパーディシャーを退き、北方を統治する。新しいパーディシャーにはパーピュアが就く」
 どよめきが起こったが、パーピュアだけは素知らぬ顔をしていた。
posted by eniwa at 00:00| トリロジー